鍼は痛いか。そうでないか。

肩への鍼イメージ

鍼灸の施術をしていて、一番多いご質問は、「鍼は痛いですか?」とのご質問です。

その質問をしたくなるお気持ちが、私には非常によくわかります。

実際に私の体験ですが、鍼灸学生時代、実習のペア割はローテーションで、毎日ペアが変わっていました。

中には痛い人。

中には全然痛くない人。

色んな人がいました。

学生時代は、それこそ命がけの授業でした。

素人の学生が、何も考えず鍼を打つからです。

正直なところ、ペアになりたくない人もいました。

その時の経験から言えば、「鍼は痛いし、受けたくもない。」が私の答えです。

ですが、鍼でなければ改善しない←こういう書き方は良くないですね。言い換えるなら、鍼だと格段に改善までの時間が短縮できる。という利点もあります。

だから私は鍼を打ってもらいたいし、鍼を勉強しています。

鍼とは、人体を傷つける行為です。

それには、リスクが伴います。

ですが、鍼は良い。と、古来より言い伝えられているのも事実です。

鍼が痛いか痛くないか。

術者は、できるだけ痛くないように刺します。

それは鍼灸師の仲間内では

「切皮痛を出さない。」といって

学生の一番最初に叩き込まれる基本です。

切皮痛とは、鍼を皮膚に刺入するときに感じる痛みで、主に自由神経終末という痛み感知センサーで感じとる痛みです。

皮膚表面には1㎜四方の面積に約10~20個の痛点があるとされています。

これらの痛点に鍼が当たってしまうと、どんなにベテランの凄腕鍼灸師であっても、患者さんに「痛っ!」と言わせてしまいます。私も何度か経験いたしました。まさに、「痛っ!」です。

痛点に当たって生じる痛み以外の痛みは、なんか違和感があってじわーっと痛いもの、です。

これは術者の腕が悪いです。いわゆる“下手くそ”な鍼です。

これも、すぐ抜いてもらってください。

痛点にあたった痛さは思わず声に出てしまう痛さなので、遠慮なく「痛い。」と言えるのですが、後者の、じわーっとする痛みに関しては、”言ったら気を悪くするかなあ”など、考えてしまうのも特徴です。我慢しようと思えば何とか我慢できそうな気がする痛みだからです。

こんな時は遠慮なく「痛いです」と告げて下さい。

それで怒る鍼灸師ならば、二度と行かなくていい場所です。

鍼灸師ならば、必ず切皮痛を出さないことに気を払っています。

必ず、です。

そしてその対処も知っています。

鍼が痛かったら、我慢しないでください。

それによって信頼関係が失われるのならば、さっさと縁を切って大丈夫です。

鍼が痛いか、痛くないか。

うーん。

結局、難しいなあ…